大学受験を目指している高校生の多くは,どこの大学を目指すかで悩むと思います.私自身,志望校は高校3年生の秋までは固まりませんでした.そこで,どうやって大学を選べば良いのかについて,私が受験生時代に考えていたこと,大学生になってからこうすれば良かったと感じたことなどを踏まえながら解説していこうと思います.
以下のポイントを中心に説明していきます.
- 何を学びたいか
- 学費,学生数,立地
- 大学の資金はどのくらいあるのか
- 大学卒業後の進路は?
何を学びたいか

一番大切な観点は,何を学びたいかです!とは言っても,何を学びたいか決まらないという人も多くいるのでしょうか.私もその一人でした.そういうときは,一番好きなことに関連する学部を選んでみましょう.宇宙が好きならば航空宇宙系の学部・学科,あるいは惑星系の学部・学科があります.最近では,福井県立大学に恐竜学部が新設されましたが,恐竜に興味がある方には最高の学部でしょう.大学ではかなり多くの研究がなされており,その分野の数だけ学部や学科があります.興味がある学部に進むのが一番でしょう.
ここで,好きな分野と得意な分野が違うという場合は,好きな分野であるという点に注意しましょう!私個人としては,好きと得意が異なる場合は好きで選んだ方がよいと思います.「好きこそものの上手なれ」ということわざがありますが,好きなことであれば熱中でき大学での学習も続けていくことができるでしょう.得意だけど好きでは無い分野に進んでしまうと,途中で飽きてしまったり,挫折した場合に大学が非常につらい場所になってしまいます.せっかく大学行こうとしているのでしたら,好きなことを学んだ方が絶対に良いはずです.
特に理系の場合,4年生には研究室に所属することになると思います.好きでも無い研究を1年間,あるいは大学院まで進んで3年,6年と研究することは苦痛でしかないでしょう.
それでもやりたいことが見つからないという方へは朗報があります.大学入学の時点では学部・学科を選択しなくても良い大学もあります.このような大学では入学後,1年生や2年生でさまざまな分野を学んでから各分野へと分かれていくことになります.これができる大学で最も有名なところは,東京大学です.東京大学には進学振り分け制度というものがあり,入学時点では学部を選ばず,3年生になるタイミングでそれぞれ分かれていきます.
このよう制度がある大学は他にもあり,北海道大学や筑波大学などがあります.私が通う,東京科学大学の理工学系にも似た制度があります.
学部・学科が決まらないという人は,こういった大学に進学するのも手です.大学に入ってみて思っていたことと違うという想像との乖離がある部分もありますので,そういうことが起こりにくいという点で,この制度は非常におすすめです.
学費,学生数,立地

学費や学生数,立地も大学を決める上で重要なポイントです.学費で考えると,一般的に私立大学は国立大学よりも学費が高い傾向があります.特に医学部の場合はこの傾向が顕著で,国公立大学では6年間で350万円ほどのところ,私立大学では安くても6年で2000万円です.また,一般的に学費は私立大学では理系の方が高くなります.ただ,最近では国立である東京大学で学費が上がり,今後もしかしたら国公立大学の学費の値上げが起こってしまうかもしれません.
続いて学生数です.よく並べて比較されることが多い早稲田大学と慶應義塾大学を比較してみましょう.204年のデータで,学部生の数は早稲田大学は約3万9000人,慶應義塾大学は約2万9000人です.実は早稲田大学の方が1万人も多いのです.学生数が多い方が良いというわけではありませんが,人によってこれは好みが分かれるところでしょう.人が多い大学と,比較的少ない大学でどちらが良いのかという観点で考えてみるのも良いでしょう.ちなみに日本で最も学生数が多いのは日本大学で2024年のデータで学部生は約6万7000人が在籍しています.
そして次に立地です.大学生になったらいろいろなところに遊びに行きたいと考えている人もいるのではないでしょうか.大学は本来学問する場所であるということはいったん置いておいて,大学になったら遊びたいという気持ちはとても分かります.関東の有名大学はかなり立地の良い大学が多いです.ですので,遊ぶとなったら最適でしょう.しかし,上京して関東に来たいという方,立地が良い分家賃などが高いのは覚悟しておいた方が良いかも競れません.食費+家賃で月10万円は覚悟しておいた方が良いでしょう.
また,立地が良い場所には魅力が多いため,大学がおろそかになってしまいがちです.遊びすぎて留年という人も数多くいます.誘惑に打ち勝つ心はしっかりと持つようにしましょう.
さらに,立地通いと言うことは通学の電車が地獄と言うことも意味します.1限は通勤ラッシュと重なるため,必ずといって良いほど満員です.毎朝押しつぶされながら電車に乗る覚悟はしておいた方が良いでしょう.
立地で選びたくなる気持ちはよく分かりますが,立地が良いことによるデメリットも理解した上で選ぶようにしましょう.
大学の資金はどのくらいあるのか

実はこれは大学を選ぶ上で非常に重要な点です.特に理系の方はこの点をしっかりと念頭に入れておくことをおすすめします.
大学には国から研究費が割り当てられます.一般的にこの学は国公立大学の方が多くなります.令和6年度の科研費配分金の上位10大学をしたの表に示します.
順位 | 大学名 | 金額 1000万円以下四捨五入 |
1位 | 東京大学 | 206 億円 |
2位 | 京都大学 | 145 億円 |
3位 | 大阪大学 | 102 億円 |
4位 | 東北大学 | 98 億円 |
5位 | 名古屋大学 | 74 億円 |
6位 | 九州大学 | 69 億円 |
7位 | 北海道大学 | 62 億円 |
8位 | 東京科学大学 | 45 億円 |
9位 | 筑波大学 | 44 億円 |
10位 | 慶應義塾大学 | 27 億円 |
※日本学術振興会「令和6年度科学研究費助成事業の配分について」より
https://www.jsps.go.jp/file/storage/kaken_27_kohyo6-2/0-1_r6.pdf
表から分かるように上位10大学のうち9大学は国立大学であり,私立大学で最も多い慶應義塾大学は,最も多い東京大学の8分の1ほどです.さらに,上位7大学はいわゆる旧帝国大学です.また,日本一とされる東京大学の科研費は多大と比較しても圧倒的です.このことから,基本的には研究を行うには国立大学が非常に優れていることが分かります.研究を行うことが多い理系の場合は,国立大学が有利であるといえるでしょう.
研究機器には非常に高価なものが多くあります.1台で数千万円,数億円するものもあります.科研費が多いことは大学に研究機器が豊富ぬあることにもつながりますので,特に理系の方はこの点を考慮することは重要です.
さらに,最近東北大学は国際卓越研究大学に選出されました.これにより,今後東北大学はより多くの助成金を得ることができるようになります.
研究を行うには莫大なお金がかかります.お金の少ない大学では満足のいく研究を行うことができないということもあるかもしれません.その大学にどのくらいのお金が配分されているのかというのは重要な指標です.
大学卒業後の進路は?

大学卒業後の進路も多くの人にとって重要な指標の1つでしょう.まずは,大学卒業後に就職をするのかそれとも大学院へ進学するのかなどといった選択肢があります.大学や学部によって,学部卒業後に就職するのか,大学院へ進学するのかは大きく異なります.
日本の学部卒業生の大学院への進学率はおよそ10%です.しかし,私が所属する東京科学大学の応用科学系では90%以上が大学院へ進学します.このように,大学によっては卒業後ほとんどが大学院へ進学するところもあります.
日本の大学は残念ながら就職予備校のようになっている側面もあります.大卒であると卒業しやすかったり,有名大学であるほど就職に有利であったりします.「学歴フィルター」という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが,未だにこれが存在しているのも事実です.たまにニュースになるなど問題になっている事象です.大企業に就職したいと考えている方は,有名難関大の方が就職に有利であるということが多いかもしれません.
また,将来メーカーの研究職になりたいと考えている方もいるかもしれません.そういう方は,絶対に大学院に進学することをおすすめします.多くの場合,研究職に就くことができるのは大学院の修士課程以上を卒業した人です.大学では専門的なことを学ぶと思っているかもしれませんが,理系の学部生は基礎的なことしか学びません.大学院に進学しない限り,専門的なことはあまり学ぶことはできません.
将来つきたい職業や職種が決まっているのであれば,それをもとに大学選びをするというのも1つの考え方です.大学の卒業生がどのような進路をたどっているのかをリサーチすることも良いでしょう.
ここまで
- 何を学びたいか
- 学費,学生数,立地
- 大学の資金はどのくらいあるのか
- 大学卒業後の進路は?
の4つの観点で大学の選び方を解説しました.これ以外にも大学選びにはさまざまな観点があるでしょう.自分が大事だと考える点を見つけるのが大切です.その点について自分なりにリサーチして大学選びを頑張ってみてください!
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